■お泊り合宿の深夜、主人公と二人っきりになった後部屋に戻ったカズさんは…


「びっくり…しちゃった、ハハ……」

僕は自室に入り、まだ少しだけ震えている右手を見た。
ただ、指先がかすかに触れ合っただけなのに。
僕だけがこんなに動揺して……

「何、やってるんだろう」

そう呟いてはベッドの端に力なく座り込む。
きれいにベッドメイキングされたシーツが僕の重みでくしゃくしゃになる。
まるで今の僕の気持ちを写した鏡のように。

「はぁ……」

我ながら勇気の出せない自分に嫌気がさしていた。
こんなため息、もう何度ついたんだろう… …
さっき伝えられたら良かったのに

君のことが好きなんだって

リビングで二人っきりだったあのとき、きっとチャンスだった……
だけど僕は結局言えなかった。

後悔したところで、ため息をついたところで時間が戻るはずもない。
事態が好転するわけでもない。
だけど、僕は性懲りも無く考えてしまう
彼女のこと、あの時のことを……

時計をみると、すでに時間は夜中の0時を過ぎていた。

「あ、彼女、今日、帰るんだよね……」

またすぐに会えるはずなのに、なんだか寂しいな……

そう思った時、
ふと、時計の隣に置いてあった鉢植えが目に入った。

この子は今日咲いてくれるかな……

蕾の開きかけたレモンマリーゴールド。
恐らく今日か明日にはきれいな黄色い花を咲かせてくれるはず。

「そっか……うん、決めたよ」

君も頑張って花を咲かせようとしているんだよね、だから僕も頑張らないと、ね

目覚めた時、もしこの花が開いていたなら伝えよう、僕のこの気持ちを

好きですって……

複雑な気持ちを抱きながら僕は横になった。
朝になるのがちょっぴり怖くて、なかなか瞼が落ちてくれなかったけど……